代表理事 ご挨拶
私は大学卒業後、大手印刷会社で営業としてキャリアをスタートしました。その後コンサルティング会社や研修会社にて人事教育分野での経験を積み、たくさんのビジネスパーソンの方々と関わって参りました。2009年春に株式会社ビーインテグラルを設立し、働く方々の可能性を引き出すお手伝いを人材育成の分野で幅広く行っています。このような経歴の人間が、なぜ介護の業界を目指したか、きっかけからお話しします。
3年半前に夫が突然のキャリアチェンジ、有料老人ホームで働き始めたことがターニングポイントでした。私にとっては全く縁のない業界でしたが、夫の活躍を目の当たりにし、この仕事の尊さに深く気付かされました。介護福祉の本質=誰もが“当事者”であること…これまでこんな当たり前のことを知らずにこれまで生きて来たとは。目からうろこが落ちる思いでした。すっかり影響を受けてしまい、会社経営の傍ら介護ヘルパー2級を取得し、介護施現場で実習ボランティアを数多く経験しました。また昨年秋には本業の経験を活かし、東京都の福祉サービス第三者評価者にも選出されました。内情を知るにつれ、介護福祉業界へのイメージは180度変わって行きます。
介護の仕事とは、日々命の現場です。人が人生の最期の日を迎える場所であり、生活と死がごく自然に隣り合わせにある職場です。命と日々向き合うと。この仕事の本質的な尊さがここにあります。介護の仕事は医療や看護と同等に、現場の経験値や瞬時の判断力、さらにスタッフ間の真のチームワークが問われます。また家族・医療・地域社会との連携など、様々なかかわりが求められます。とかく3Kのようなイメージを持たれやすい介護業界ですが、実際は高い専門性と人間力を養う仕事であることを、長年企業の人材育成に関わってきた目線から見ても日々実感しています。
私自身、企業の人材育成に長く携わらせて頂いている中で「企業・組織は人なり」と強く思っており、人材=人財であると信じています。どのような人であっても「たまたまここにいる」人は1人としておらず、皆が何かの見えない必然や縁を持って集まっているものなのだと、どのような会社、どのような組織を見てもいつも感じます。
縁を繋いで出会わせていただいた人たちの、能力・個性・良い意図等を“エンパワメント”し、それぞれの持ち場で貢献できるための一助となること…。これまで私自身が自分の仕事の中で取り組んできたことを、その尊さを知った介護業界で、何かの形でお手伝いしたいというシンプルな思いから、NPO法人みらいびとの活動がスタートしています。
世界で類を見ない超高齢化社会に直面している日本。2025年に250万人の介護従事者が必要と言われている中、社会課題とも言うべき「介護職員が100万人足りない問題」をいかに改善するか、職員を辞めさせないか、定着させるか、ご利用者様に寄り添えるプロフェッショナルを育成するかという直近の課題に取り組みつつも、2025年に250万人の福祉の担い手たちが、現場発でイノベーションした先の輝く未来にいつも目線を向けていたいと思っています。
そして現場発イノベーションの、外側ではなく「内側」に“当事者として”参加しているみらいびとでありたいと願っています。
特定非営利活動法人みらいびと 代表理事 福島見容